ライブドア(LD)前社長の堀江貴文容疑者(33)らによる粉飾決算事件で、東京地検特捜部は、LDが粉飾の原資を得るための資金還流工作に関与したとされるスイス系金融機関の香港法人幹部と日本法人元社員の2人を参考人として事情聴取した。LDは複雑な海外取引を通じて秘密裏に自社株を売却し、得られた収入を粉飾に使ったことが判明しており、特捜部はこうした還流システムが考案・実行された経緯や海外口座にプールされたLD側の資金の実態を詳しく調べている。
関係者によると、特捜部の事情聴取を受けた2人は日本人で、スイス系金融機関の香港法人幹部は富裕層の資産を管理・運用するプライベートバンク(PB)部門を担当。特捜部の調べに対し、取引の流れなどを認めたうえで「投資のお手伝いをしただけ」などと説明している。日本法人元社員も在職中にPB業務を担当し、退職後も国内の顧客を紹介するなど橋渡し役を務めていたという。
粉飾決算のための資金還流工作で、LD前取締役の宮内亮治容疑者(38)は04年、ライブドアファイナンス前社長の中村長也容疑者(38)らとともに、LD株などの売却収入をダミー法人を介在させてLDに還流させる取引やPBの預金口座の開設などについて日本法人元社員に相談。元社員は香港法人の幹部と連携して、カリブ海にある租税回避地の英領バージン諸島に設立された法人「エバートンエクイティ」などを組み込んだ取引を考案し、宮内前取締役らに説明した。LD関係者は「宮内前取締役らは海外取引の知識がなく、具体的な方法はすべて金融機関側が考えた」と話している。
スイス系金融機関は、堀江前社長が保有していたLD株の担保提供を受け、エバートン社を受け皿としてLD側に工作資金を融資。エバートン社はLDのダミーとして、LD株の売却収入を他社の社債売却で得た利益と偽ってLD側に22億円を送金▽LDが支配する投資事業組合から市場を通さずにLD関連会社株を買い取った後、売却益約7億円をLD側に還流――など決算粉飾の原資づくりに深くかかわった。
関係者によると、スイス系金融機関のPBにLD側が預金口座を設けた際、香港法人幹部が開設などの手続きをした。関連会社株の売却益約7億円をLD側に還流させたが、残りの利益はこの預金口座に入金され、投資事業組合に対する取引説明も香港法人幹部が行っていたという。
この香港法人幹部は全国小売酒販組合中央会が外債に投資した年金資金約144億円が回収不能になった事件でも取引担当者として関与。警視庁に背任容疑で逮捕された中央会元事務局長(49)が外債を購入する際の窓口となっていた。 |