第9通目と一緒にお送りした文章。 (これもスブドの会誌に載せたものをお送りしたものです)

『2001年宇宙の旅』の謎


                                                              E田

イギリスのSF作家アーサー・C・クラークが書いた『地球幼年期の終わり』(創元推理文庫)という有名な作品があります。この作品の最後のほうに、ニューアテネという島に住んでいる子供たちが急激に進化していく場面があります。その子供たちに起こるいくつかの変化の中で行動についての描写がラティハン中の動作にとてもよく似ていたので、クラークはスブドについて知っていてこの作品を書いたのではないだろうかと考えていました。そこでスリランカ出身のヴァリンドラ氏が来日したときこのことについて尋ねてみると、予想通りに、クラークはスブドについて知っていたのでした。さらにヴァリンドラ氏は、もっと興味深いことを教えてくれました。これについてはセンターの書庫にある黒い表紙の"A MEMOIR OF SUBUD"という本の62ページに書いてありますのでそこから抜粋します。紙面の都合上一部しか紹介できませんので、興味をお持ちになった方は原書をご覧になって下さい。
「ヴァリンドラ氏がバパに『ダーウィンは正しかったのでしょうか』と尋ねてみたところ、バパは『ダーウィンは正しいが彼の追従者たちは正しいとは言えない。ダーウィン自身は神の存在と力を信じていた謙虚な人だったけれども、彼の追従者たちは最も進化した類人猿と低級な人間の間に広がる巨大なミッシング・リンク(失われた環)などと言う存在を想定したのだ。しかし、この環はつねに失われている。』とお答えになった。
バパの説明によると、人間の準備が出来たときに、我々の太陽形を越えた真の人間の世界から人間の魂がやってきて肉体に宿るということだ。これがアダムの誕生にあたる。
ヴァリンドラ氏は、このことを隣に住んでいた友人のクラーク(コロンボ在住)に伝えたが、クラークは科学者として軽蔑したにすぎなかった。数年後、ヴァリンドラ氏は、クラークが原作を書き、スタンリー・キューブリックが監督したSF映画『2001年宇宙の旅』(本はハヤカワ文庫)を見た。映画の中には、モノリス(黒い直方体)が類人猿たちを人間に進化させる波動を出すと言うシーンがあった。バパが説いたことはクラークの心から消えてはいなかったのだ。科学者として軽蔑はしたものの、心のどこかに強い印象として残っていたのだろう。ヴァリンドラ氏は、クラークに冗談でこれはあの時の話の盗作ではないかと指摘した。クラークは正直に思いだしたのであった。」この二つのSF小説は、スブド会員にとって意味があるので、SFの好きな方はぜひ読んでみて下さい。また、SFの好きな知人にも知らせて下さい。

[但し、SFに詳しい人に聞いた所、この話の可能性は大変に少ないということです]


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