2031年、「獣(反キリスト)」は出現する!?

−−−ロシアの聖者ソロビヨフの予言

林陽(翻訳家)

 ソロビヨフが死の直前に著した予言書は、ヨハネ黙示録にある「獣」=反キリストの生涯を描くとともに、ハルマゲドン勃発への過程を克明に記している。将来、新ローマ皇帝となるであろう「獣」は、1998年に誕生する・・・・・・

 「また、その刻印、すなわち、あの獣の名またはその名の数字を持っている者以外、だれも、買うことも、売ることもできないようにした‥‥‥その数字は人間をさしている。その数字は666である」(ヨハネ黙示録13章17・18節)

 『聖書』の終末予言の中でも、もっとも不吉な響きをもつのが、「獣」と呼ばれる反キリストについての予言である。古来、この謎のベールに包まれた反キリストについて、たくさんの研究者が解釈を試みてきたが、19世紀ロシアの生んだ聖者ソロビヨフの啓示ほど、獣の正体を克明に浮き彫りにしたものはない。
 ロシア正教の生んだ偉大なる幻視者、聖者、預言者であるウラディミール・セルゲビッチ・ソロビヨフ(Vladimir Solovyov)は、1853年1月16日、モスクワに生まれた。生涯のもっとも大切な時期に、ロシア正教の守護神として有名な処女聖ソフィアの訪問を受け、霊的な指導を受けた。
 聖ソフィアとの最初の出合いは、まだ9歳の頃、彼が昇天祭のミサに与(あずか)っていたときのことである。天からの使いは、「世界の守護天使」と自らを名乗り、彼の一生を照らすことになる。
 2度目の訪れは、ソロビヨフがロンドンに渡り、大博物館で研究をしていた1874年に起こった。帰国後の彼は、宗教家、詩人、講演者として不動の地位を築き、ドストエフスキー、トルストイ、ベルジャーエフなど、当時の文壇や宗教界に大きな影響を与えるようになった。
 3度目の訪れは、彼がエジプトの砂漠にいたときに起こった。そのときの啓示を元に、『戦争とキリスト教』というタイトルの予言的書物を、死ぬ直前(1900年)に書き上げた。この中に、反キリストの生涯とそれを取り巻く世界情勢が、克明に記されているのである。
 ソロビヨフは、当時の日本の思想界にも大きな影響を与えている。明治時代のキリスト教の大指導者だった内村鑑三がその好例であろう。『ルツーベツコイ公の十字架』の中で彼は、こう語っている。「ロシアの思想家にはアジア人の情性がある。ロシアの思想が日本人に了解されやすきは、すなわちこの故である。キリスト再臨につき、もっとも深き印象を余に与えたる者も、同じくロシア人たるウラディミール・ソロヴィエフであった」。
 ソロビヨフの予言は、パンソフィア神父という予言者が書き残した神の予言書を、第三者(Z氏)が朗読するという、特異な形式をとっている。

超人の出現−予言書より

 予言の中心となる時代は21世紀。話は、まず、20世妃の度重なる世界戦争と動乱の描写に始まる。日本が、西側の汎ゲルマン主義、汎スラブ主義にヒントを得て、汎モンゴル主義(大東亜共栄圏のことであろう)を掲げ、韓国、中国、ロシアと、次々に東洋支配を実現してゆく様子を描く。
 やがて、日中が一丸となって、アジア大連合を作り、ロシアを越えてヨーロッパまで侵略するときがくる。東洋の軍勢は、ドイツ、フランスにまで至り、ヨーロッパは長いことモンゴルの支配下に陥り、大変な苦しみをなめる。文化・社会・経済面で深刻な問題が生じてくる中、フリーメーソンの国際的活動が激化し、欧州を独立させ、モンゴルを追放する策略が、欧州全域に張り巡らされる。
 最柊的に、ヨーロッパは一致団結して、東からの黄禍を駆逐することに成功する。そして、統一こそがヨーロッパ存続の道であることを、共通して認識するに至り、ついに、ヨーロッパ合衆国が誕生することになる。
 この時期について、ソロビヨフは21世紀としか述べていないが、いくつか、重要な指標を述べている。彼によると、この頃には、イスラエルが建国されて久しく、国内人口は3,000万人になっている。また、エルサレムの聖地「モリアの丘」には、岩のドームと並んでユダヤ教の神殿兼宮殿が造宮されている。
 一方、バチカンにあるカトリック聖庁は、イタリアから追放され、ロシアのサンクトペテルスブルクに一時的に移されていて、教皇の名は「ペテロU世」と呼ばれている。
 この頃に、傑出せる若者が現われる。彼は世界屈指の大財閥の出で、陸軍の司令官を務めていたが、一方、思索家・作家・社会福祉家としても知られ、もって生まれた霊感を使って、多くの真理を把握する神秘主義者でもあった。また、生粋のユダヤ人としても世に宣伝され、政財界・軍部・宗教界に太いパイプを持ち、メーソンの最有力メンバーの一人でもあった。
 しかし、彼は自分しかさなかった。神を信じたが、心の奥底では、神よりも自分を上位に置いていた。善を信じたが、ひとたび誘惑が置かれれば、この男が悪にかしづくことを神は知っていた。天からの異例な情を受けているとみえるほど豊かな贈物を与えられていた彼は、自分が神の一人子として、初めから神の次に位しているのではないか、と考えるようになる。
 「キリストは、自分の前に来た。私は次に現われた。だが、時間的に後に来た者の方が、本当は最初なのだ。私は、最後の絶対的救世主であるが故に、歴史の終わりに至って現われたのである。私の出現に備えることが、彼の使命だったのだ。倫理的に善いことを説いたキリストは、人間性の改革者だったが、わたしは、部分的にしか改革されていない人間性に恩恵を施そう。わたしは、万人に必要なもの、すべてを与えよう。キリストは、万人を善と悪とに分けたが、私は善にも悪にも必要な祝福によって、彼らを一つにしよう」
 彼は、30歳でこのような自覚を持ちはじめ、いつか天からの直接啓示が下るときを、ひたすら待った。しかし、天啓が下らぬまま、3年が空しく過ぎ、深夜に、絶望のあまり投身自殺をはかった。その時に、奇蹟が起きる。体が中空で撥ね返され、絶壁に戻された彼の前に、「光る目」が現われたのである(目は、メーソンの神のシンボルであることに注意したい)。その目から、金属的な声か響いてきた。
 「し子よ、おまえはなぜ、私を求めたのか。私は神にして、おまえの父である。別の者、十字架につけられたあの物乞いは、私ともおまえとも何の関わりもない。わが子はおまえ一人である。おまえは、麗しく、偉大で、力ある存在だ。わが名によってではなく、おまえの名によって行動せよ。わが霊を受けよ。かつて、おまえを美の中に生み出したように、わが霊が、今、おまえを力の中に生み出さんことを」
 光る目が若者の口元に近づいたときに、体内に氷のような冷たい電流が注入されるのを感じ、彼は最高の秘儀伝授を得たと確信した。

新ローマ皇帝の誕生−予言書より

 断崖での衝撃的体験があってから、彼は一変した。霊感が泉のように吹き出し、神がかり的スピードで一冊の本を書き上げた。『世界の平和と繁栄のための開かれた道』というタイトルのこの本は、世のあらゆる争いに終止符を打つものだった。
 古来からの伝統と象徴への崇敬が、社会的・政治的要求にかなう大胆な革命思想と見事に融和されていた。すべての思想の自由、あらゆる神秘主義への深遠な理解、絶対的個人主義と人類共有の善への熱い願い、指導原理としての高尚な理想主義と現実的打算とが、一つに溶け込み、知識人も労働者も容易に全貌を理解し、受け入れられるような天才的筆致で書かれていたのだ。
 本は、直ちにすべての言語に訳され、世界中の千の新聞が評論を組み、著者の写真付きペーパーバックは、空前の大ベストセラーとなって、全世界で彼を知らない者はいないほどになる。
 「キリスト」のキの字も出てこないこの本に、不信を懐くキリスト教徒もいたが、その声はすぐに打ち消された。
 その頃、ヨーロッパは探刻な危機を迎えつつあった。国家間ではなく、政治的・社会的党派の衝突が絶えず、創設されたばかりの全欧連合も、共通する有力な権威が現われないまま、分解の危機に直面していたのである。議会の全員がフリーメーソン員ではなかったため、互いに意見の一致を見ず、新たな戦争の危機が追っていた。
 ここに至って、メーソンの大秘伝者にして、今や全世界の支持を受けるに至った「開かれた道」の著者が、ヨーロッパ合衆国大統領の最有力候補として、にわかに浮上した。その年の総会は、満場の一致で、この若者をヨーロッパ合衆団終身大統領に任命することに決まり、新ローマ皇帝という最高の栄誉を授与して、会議は閉幕した。地球人類へ向けた彼の演説は、次の言葉で結ばれた。
 「地球人類よ、約束は果たされた。世界に恒久的平和が保障されたのである。これを崩そうとするいかなる試みも、無敵の抵抗に出合うことだろう。今より、いかなる国家の集合体よりも強力な中央権力が、地球上に置かれることになる。この無敵の権力は、すべて、専制ヨーロッパ皇帝に選出されたわたしに帰属する。国際法は、ついに、かつてなき最大最強の制裁力を持つにいたった。今より、わたしが平和を語るときに、戦争を語れる国は、一つも存在しなくなる。地球人類よ、平和のあらんことを」
 宣言は即日効力を現わし、各国に組織された強力な皇帝政党の働きかけにより、ほとんどの国が皇帝に服属した。アジア・アフリカの反乱分子は、皇帝の派遣する多国籍軍に鎮圧され、彼は世界中から戦争の種を根絶した。
 2年目に、彼は社会改革を断行、莫大な財源によって貧民救済の仕事に着手、その結果、誰もが能力と労働に応じて十分な供給を受ける理想社会が実現した。
 この頃、東洋の新仏教徒の間で「日月の神の落とし子」と崇められる男が現われた。カトリック司祭でもある彼は、東洋人と西洋人の混血で、名をアポリュオンといった。彼は、現代科学の最新知識とその技術的応用に通じ、それを東洋の密教と合体させて、「火を天から降らせる」とてつもない奇蹟を操った。
 アポリュオンは、帝都ローマに皇帝をたずね、皇帝を東洋の諸聖典に予言された最後のキリストと讃えた。そして、自分の持つ技術を皇帝に捧げる見返りとして、国務大臣と枢機卿のポストを手に入れた。ここに至って、それまで平穏に過ごしてきたキリスト教徒の間に動揺が起こり、多くの人が『聖書』の終末予言を調べ始める。「黙示録の獣」、反キリストについての予言が現状と重なるように思えたからだ。
 宗教界の動揺をいち早く察知した皇帝は、4年目の最初に、自ら解決に乗り出した。世界キリスト教公会議を新都エルサレムで開き、全宗派の代表団をここに募ったのである。エルサレムの聖地に、岩のドーム(左の写真)と並んで建つ大神殿が公会議場に選ばれ、3,000人の代表者が全世界から集められた。
 その中で、特に注目すべき3名がいた。カトリック代表のペテロU世教皇、ロシア正教代表のヨハネス長老、プロテスタント代表の神学者エルンスト・パウリの3名である。

ハルマゲドンの勃発−予言書より

 さて、会議場となった神殿は、3分の2までが出席者用の下座、3分の1の上座には、皇帝と国務長官の座、その背後には大臣用の座席と用途不明のたくさんのシートがあったが、やがて会議が進行するにつれてその用途がはっきりしてくる。
 皇帝は、各宗派の弱みを知り冬していた。カトリックに対してはローマ聖庁の復帰、正数に対してはイコン(聖画)の収集、プロテスタントに対しては聖書国際研究所の設置を提起し、加えて莫大な財源の負担も申し出た。その代わりに、皇帝を宗教の最高権威者と認めることを求めた。この結果、大部分のキリスト教徒が皇帝の背後に並ぶ上座の席に移り、下座に残ったペテロU世、ヨハネス長老、パウリ教授を中心とする少数者を見下す形になったのである。皇帝は業を煮やした。
 「そこの変わり者たち、何が望みか言ってみよ!」との皇帝の言葉に、まずヨハネスが口火を切った。ヨハネスは、イエス・キリストこそが主であると述べたうえで、皇帝に対し、キリストへの信仰告白をするように願い出た。「告白しなさい。そうすれは、わたしたちは、主の再臨の先ぶれとして、あなたを受け入れましょう」
 このときに、初めて皇帝の顔に動揺か広がった。沈黙する皇帝の横で、魔術師アポリュオンが微妙な動きをし始めた。視線をヨハネスに固定したまま、彼の唇はかすかに動き、それと共に、上空に黒雲が徐々に集まり始めた。顔を硬直させ、なおも沈黙する皇帝を指し、「あなたは反キリストだ!」とヨハネスが叫んだ瞬間に、大音響とともに雷が長老に落ち、彼はその場で息絶えた。
 同じようにして、ペテロU世も落雷に打たれて死に、死んだ2人は、神の子を認めなかったがために天の正しい裁きを受けたものと宣告された。皇帝が去った後、残された人々は、反乱分子の烙印を押されて追放され、2人の死体は、皇帝の命令により、聖墳墓教会の前に放置された。
 だが、2人の死体は3日目に超自然的力によって息を吹き返し、パウリ率いる追放組と合流する。ここで初めて、カトリック、正教、プロテスタントは真の和解をみることになるのである。そのとき、天に聖母マリアの大きな姿が出現して夜空を照らし、彼らをシナイムへと導いた。
 一方、イスラエルでは、予想もしない事態が持ち上がりつつあった。国を挙げて皇帝に仕えていた人口3,000万のユダヤ人が、突然、皇帝に反旗を翻し、暴動を起こし始めたのである。
 理由は、あまりに馬鹿馬鹿しく、あまりに単純明解で、皇帝すら忘れ去っていたことだった。皇帝に送り込まれた妾の中に、ひときわ美しいユダヤ人の女がいた。彼女が、皇帝との秘め事の中で、相手が割礼すら受けていないことを知り、それを国民にばらしてしまったのである。
 割礼は、ユダヤ人たることの象徴である。そこで、ユダヤ人は、ダビデの血筋とは名ばかりの、この喰わせもののメシアに怒り、国を挙げて偽メシアの追い出しにかかった。敵は、このときになって初めて、ユダヤ民族がマモン(カネ)に仕える民ではなく、永遠のメシア信仰への熱い願いに燃える民族であることを知り、唖然となった。
 皇帝は、予想外の事態に取り乱し、異教徒の軍団を配備して、ユダヤ人大虐殺に踏み切った。戦争は激化し、シリアから南下する帝国軍と北進するイスラエル軍との対決になった。このときに、かつてない巨大地震が起こり、火山の爆発に火をつけた。そして、この大きな地殻変動の中で、皇帝も魔術師も、その軍隊も火の海に呑まれ、すべては灰と化した。
 すっかり震え上がった民衆は、聖地モリアの丘へ集まり、イスラエルの神に救いを求めた。そのとき、東から西へ天を切り裂くような大きな稲妻か走り、引き裂かれた天幕の彼方から、イエス・キリストが降りてくるのを、すべての人が目にした。そこに、ヨハネス、ペテロU世、パウリ率いるキリスト者の群れが合流し、さらに無数の人々が四方から聖地に集まつた。全員、反キリストに殺されはずの人々だった。彼らは、1000年の間、キリストと共に生き、地上を治めた。

1998年は反キリスト誕生の年!?

 ソロビヨフが、正教の聖人パンソフィアの口を借りて書き綴った不思議な予言は、ここで終わる。ソロビヨフは、最後に、書かれていない話や事件はたくきんある。だが、このドラマの配役も観客も、そこにあるいっさいを変更することを許されていない、と結んでいる。
 ソロビヨフから100年が経ち、予言の時、21世紀を迎えよぅとしている今、彼の予言は驚くべき正確さで成就しているように思われる。20世紀に起こると予言された各戦争は、その通りに起こった。日本の力が欧州をも凌ぐほどになるとの予言は、すでに経済戦争の面では現実のものとなっている。
 日本と中国がアジア大連合を作り、欧州を侵略することになるのかは、来世紀を待たなければならないが、今やアジア市場は欧米を凌ぐ勢いになりつつある。日本のカネと技術、中国の広大な土地と10億の人口が結びつけば、まさしくこの通りになるだろう。
 その一方で、ロシアが弱体化するとの予言も成就している。また、ソ連崩壊、欧州激変とともに、ヨーロッパ合衆国実現の準備段階としての欧州連合(EU)も、現実のものとなった。
 別世紀には、予言通りにヨーロッパ合衆国、黙示録に予言された新ローマ帝国が生まれることだろう。
 イスラエルが再建されて久しいとの予言も、すでに実現をみているが、予言にある「人口3,000万」にはまだ遠い。今は、560万人だ。だが、中東和平が実現し、一挙に人口が流入すれば、3,000万人になるのは、そんな先の話ではなかろう。それと関連して、神殿山上に岩のドームと並び、ソロモン神殿が再建されているとも書かれているが、これは注目すべき記述である。
 建国50年を前にして、今のイスラエルが求めているのは、政治ばかりか宗教におけるメシア的存在の登場である。長年、彼らの間には、神殿を建てたときにメシアは再来すると伝えられてきたため、最近、神殿再建の気運が特に高まってきている。しかも、神殿跡地は、イスラム教のモスクと並ぶ広場にあることが考古学調査と「死海写本」の発堀で確かめられているので、ソロビヨフの予言通りに、二つの宗教の宮か並んで建つことは、時間の問題なのである(⇒YouTUBE動画へ(201305280156)追加)。次の中東和平が、その突破口になるだろう。
 ローマ教皇に関する予言も関心をそそられる。カトリックの予言者聖マラキ(12世紀)の有名な「歴代教皇の予言書」によれば、最後の教皇「ペトロス・ロマヌス」まで、あと2人しかいない。現教皇ヨハネ・パウロU世は、20年近く教皇の座にあるが、仮りにあと10年続けられたとしても、ペトロスまであと一人である。
 次の教皇「グロリア・オリベ」(オリーブの栄光)がどれほど長く教皇の座にあろうとも、50年も続くはずがないので、マラキとソロビヨフの予言における「ペトロス(ペテロ)U世」の選出は、21世紀前半から中頃と考えるべきであろう。マラキの予言には、ソロビヨフの予言を裏づけるような響きがある。
 「聖なるローマ教会最後の迫害の最中、ローマ人ペテロが治めるだろう。彼は、多くの艱難の中で羊たちを牧する。その後、7つの丘の都は滅び、おそるべき審判者が人々を裁くことだろう」 ソロビヨフの予言で中心となっているのは、黙示録の予言に登場する「獣」と呼ばれる反キリストである。聖書予言の解説者は、しはしば反キリストを、血も涙もない残虐な暴君のように描くが、このようなイメージにとらわれていると大きな誤まりを犯すだろう。
 反キリストは、反キリストの姿をとっては現われない。どこまでもキリストに似た、神々しい姿をとって現われるのだ。世界平和を語り、平和と博 自由・平等のために力を尽くし、世界の諸国家を統一された全体として、まとめ上げる。大秘伝者でもある彼は、しばしば紛争の原因となる宗教をも統一するだけの力と理解を持っているだろう。 黙示録には、天から再臨するキリストがハルマゲドンに介入し、新世界を切り開く記述があるが、偽キリストは、このようなキリストに関する予言をすべて自分に当てはめる。彼は、世界戦争で危機に瀕した地球を救う、かつてない天分を発揮するばかりか、キリスト教にとってのキリスト、ユダヤ教徒にとってのメシアの座を確立するのである。
 アメリカの予言者エドガー・ケイシーは、「1998年にメシア誕生」とはっきり年まで出しているが、彼が反キリストについて一言も予言していないことを考えれは、予告されたメシアは、のちに反キリストになる可能性が高い。
 驚くべきことに、同時代にヨーロッパに生きた神秘家ルドルフ・シュタイナーは、1998年にサタンの化肉があるだろうと予測していた。「獣の数666の3倍年に当たる1998年に、アーリマンの化肉が起こるのか」と、同僚のフリードリッヒ・リッターマイエル博士からきかれたときに、「誕生が予測される年である」と、シュタイナーははっきり答えているのだ。
 もしも、この年に反キリストが生まれると仮定すれば、その人物が33歳で公に出現する年は、2031年になるだろう。このようなわけで、21世紀前半に、ソロビヨフの予言は実現の段階に入ると思われる。羊の皮を分厚く覆った狼に魂まで根こそぎにされないよう、真の神の預言者の言葉に、よく耳を傾けるべきである。

(→阿修羅発言 (200511230015))ヨーロッパ合衆国

















































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