人間は誰でも弱い一面を持っている。 が、しかしである。弱いからといって恥じることはないのである。弱さは恥なのではない。 恥なのは己の弱さを知らずに勝ち目のない争いに見栄を張って一戦交えることであろう。このような愚考は避けるがよかろう。 イイカッコしいは命取りとなることを我々凡人は肝に銘じるべだろう。 自分が弱いと思ったらさっさと降参するべきだ。 降参することをチョイスするのである。 降参することにより、時間を稼ぐ間に回復させ相手の力が弱くなるのをのんびりと待ち構えるのである。 真っ先に降伏せよ、右の頬を打たれたなら左の頬を差し出せ。 そうすれば相手は激怒し理性と平常心を失うのだ。
19世紀半ば、1857年頃のこと。 外国との交易が活発になることにより日本の独立が危うくなる危機に気づくと、 日本人が外国人をいかにして打ち負かすかが論議されだしていた。 そんな中で、一人の老中が挙手した。
議長 「堀田正睦くん」
老中堀田正睦 「あぁ〜、わが国の政策としましては、外国との友好なる同 盟関係を蒸すべきではないかと、かように思うのでござい ます」
野次A 「キサマぁ、何を言っておるか!南蛮人との友好などあり えん!」
野次B 「そうだそうだ! 戦いあるのみだ!」
議長 「あぁ〜、静かに、外野の野次はやめるように。」
老中堀田正睦 「議長、発言の続きです」
議長 「堀田正睦くん、どうぞ。」
老中堀田正睦 「えぇ〜、わたくしとしましては、船舶による多くの国々 との交易を深め、外国人がもっとも得意とする分野を模 倣し、そして私たち日本人の欠点を正し、そして」
野次A 「クラァッ、キサマぁ! 何を言っておるか! 我々日本 人が毛唐の猿真似をするとは何事か!」
野次B 「おのれ! 愚弄するきか! えぇいっ、腹を切れ、」
議長 「静粛に、静かにしなさい。堀田正睦くん、続きをどうぞ。」
老中堀田正睦 「そしてですね、国力を育みながら武力を整備する、 そうすることによってですねぇ、外国人を少しずつ我が 日の本の影響下においてですねぇ〜」
野次A 「わっははははは、何を歌舞いておるのかね、君は!」
野次B 「逝ってよ〜し!藁」
野次C 「退場キボンヌ」
議長 「おい、おまえら、静かにせんか! 野次馬どもめ。 あぁ〜、堀田正睦くん、続けてどうぞ」
老中堀田正睦 「ありがとうございます議長。そして外国人を影響下におい てですね、いいですか、皆さん。最終的にはすべての国家 がですよ、完全なる安定のありがたさを認識してです ねぇ、我々日本人による主導権が世界に知れわたるので す!」 野次D 「よぉ〜し、異議なぁし!」
野次E 「よぉ〜し!」
野次F 「ヒューヒュー」
さて、この老中堀田正睦の言葉こそ、その後の日本の政治に強い影響を与えるものとなっのである。 降伏を装いながら敵に接近し、表面的には敵のやりかたに従うふりをしながら、 抜け目なく、その戦術やさまざまな知識を学び、そして密かに自分だけの知識を身に付つけ洗練させていくのである。 静かにそして緩やかに浸透しながら敵を侵略していけば、敵は身構えることもなく反撃することもない。 気づいたときには形勢逆転、降伏が勝利へと反転するのだ。 このように弱さはパワーに転換すれば勝利へ至る階段が見えてくる。
弱さはパワーなり!
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