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Daiki Forex Report Weekly

◆ 土壌水分の改善が調整売りを促す ◆

先週のICEコーヒー相場は、120セント台前半まで軟化する展開。先週同様にブラジルの旱魃懸念が上値を抑えており、調整売りが先行している。生産地で散発的な降雨が観測されていることで、イールドの下方修正から減産幅が拡大するリスクが低下している。まだ土壌水分は不十分であり、旱魃の影響を完全に払拭することは難しいとみる向きが多いが、少なくとも生産環境がサプライズとなる程に悪化するリスクは低下しており、プレミアムの剥落が促されている。

コーヒー市場では、天候相場が続いている。既に2007/08年度需給の逼迫化が決定的となる中、旱魃に伴い更に生産水準を引き下げるリスクがどの程度まで顕在化するかが焦点となっている。9月以降の降水量が決定的に不足していたことで、マーケットでは旱魃がイールドの低下を招き、需給バランスを極度にタイト化させるリスクが強く警戒されていた。土壌水分がほぼ枯渇状態となっていたことで、米農務省(USDA)が6月に示した生産高見通し3,620万が更に下方修正されるリスクが警戒されたのである。ただ、10月中旬以降は散発的な降雨が観測される日が増えており、少なくとも1999年のような大規模な旱魃被害は回避される見通しとなっている。こうした状況が、リスクプレミアムの剥落を促し、コーヒー相場の上値を圧迫している。ただ、これまでの土壌水分が決定的に不足しているのは間違いなく、投機プレミアムを完全に払拭するのも難しい。ブラジルのクリマテンポ社によると、コーヒー生産地の集中するミナスジェライス州のラブラスの土壌水分は71.6ミリ、パトスは13.1ミリとなっているが、必ずしも土壌水分は十分と言えないレベルである。引き続き、生産地の気象状況に注目したい。

ただ、今年度のコーヒー需給はこうした気象要因を考慮に入れなくともタイト化の方向でみており、相場の下落余地は限定的と考えている。ブラジル需給のみを考えても、生産高は前年比-1,050万袋と大きく落ち込んでおり、この減産分は需要の抑制か在庫の減少で対応する他ない。しかし、世界的なコーヒー嗜好の拡大で海外需要は堅調であり、また所得水準の上昇から国内消費量も着実な増加トレンドにある。こうした状況からは、期末在庫の削減が急ピッチに進むことが予測され、130-140セント水準の価格帯には特に割高感がない。旱魃リスクはコーヒー需給再評価のカタリスト(触媒)となっているが、決定的な上昇要因ではない。タイトな需給環境が底流にあるからこそ、マーケットは天候リスクに敏感に反応していることを確認したい。

ICEコーヒー相場は120セント台前半での取引となっているが、押し目買いスタンスで臨みたい。気象環境の変化が調整売りを促しているが、コーヒー相場が崩れることはないと考えている。タイトな需給環境を考慮すれば、110-120セント水準が支持線となる見通しである。一方、上値目処はUSDAの6月見通しから130-140セントを想定しており、現在の気象環境であればこれを大幅に上方修正する必要性は低いだろう。高値揉み合い相場を基本シナリオに、引き続き気象要因が変動率を増幅させる展開が想定される。
【2007.10.29 大起産業(株)調査研究室 小菅 努(Blog)】

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