
T 鎖を解かれるのを忌み嫌う者は 暗き場に残るであろう
U 数を合わせようとするから歪みが起こる
あるがままの数を生かす様にせよ
V 果実を食してしまったなら せめて種子を地に戻せ
W
喜びの歌を
血塗られた雄叫びに
変えるのか
その手に懸けるか この名も無き鳥を
X 傘は、何の為にさすのか 考えよ
Y 長きを短きに変えて 重きを軽きに変えて
揺すれ 揺すれ 荒き目から 細かき目に替えて
こぼれ落ちるものは拾うな
然し 残る者も砂金だとは言い難い
Z 矢尻の形に気を取られて 肝心の弓に
亀裂がある事を見過ごすのか
[ 盃 上下に合わせて 上下から飲み干せよ
これは 白と黒の境を飲む事 これが 白でも黒でも無い
正中の道
\ 者皆 酔い痴れて この華を
愛でる時
独り 目を醒まし唇を噛む者在り
ただ 独り ただ 独り 一人の為の独り
] 水面に映る虹を渡る事は出来ない
渡ろうとすれば 深みに足を取られ
深い碧の淵に沈んでしまう
XI 銀盆の反射を受けて輝く石
それは 泉の奥に眠る清らかな石
その泉に手を入れるな
XII 翼を持つ者を 侮ってはならぬ
然し 気を付けよ 地をはう者にも翼を持つ者が居る

明けゆく空 明けゆく夢
光に 鳥は喜び舞い
光に 子供は涙する
光に 光に
1986-3-23